歌野晶午「密室殺人ゲーム2.0」
「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」奇妙すぎるニックネームの5人が、日夜チャット上で「とびきりのトリック」を出題しあう推理合戦!ただし、このゲームが特殊なのは各々の参加者がトリックを披露するため、殺人を実行するということ。究極の推理ゲームが行き着く衝撃の結末とは。
(「BOOK」データベースより)
52点
前作を読まずに、いきなりこの小説を読んでしまった。
「密室殺人ゲーム 王手飛車取り」の続編。
基本は実際にチャット上の出題者が行った殺人を、他のメンバーが推理していくと言うもの。
それを軽妙な会話や、ミステリに対してのメタ的な要素など出しながら進めていく。
本格を書いていた歌野晶午ならではの作品といえよう。
それぞれ見所はあるが、短編六作のなかでは"相当な悪魔"が面白かった。
トリックの意外性と何気ないヒントのバランスがよく、なかなか驚かされる結論だった。
他の作品はトリックが成立するものの弱さを感じるものも多く、特にラストで一番の見せ所の"密室よさらば"に関しては早々にトリックというか一番のポイントに気づいてしまったため楽しめなかった。
ミステリを"解く"事にミステリの醍醐味を見出す人なら面白いのだろう。
自分はそこまでミステリに対してドライではなく、小説としての構成や伏線の見事さに目が行くタイプなので、あまり相性の良い小説ではなかった。