森博嗣「スカイ・イクリプス」
綺麗だ。濁ったものはここにはない。なにもかも、消えてしまったから。美しい。空しかない。
(「BOOK」データベースより)
51点
スカイ・クロラシリーズ最終話を含む短編集。
個人的には少し蛇足に感じる部分もあった。
ササクラ、ティーチャ、カイ、マスター、クサナギミズキなどシリーズに登場した人物の話。
そしておそらく海に墜落した事があると言っていたカンナミの話。
トキノの同僚マジマの話。
そして草薙水素の話。
サイドキャラクターの話は、どれも映画のカットされたシーンのような取り留めの無いヒトコマ。
ファンとして見れば再登場がうれしいが、凡庸さを感じる話も多い。
海の話やマジマの話も同様。
草薙水素の話は全編の謎を明かすような役割があり、感動的な話。
だが感動と同時にスカイクロラで終わった事による、言いようのない喪失感を汚されたような印象も受けた。
ファンブックとしては良いのだろうが、シリーズ全編の構成の上手さとまとまりを考えると必要な短編なのか疑問もある。
これならいっそ、全てサイドキャラクターで固めても良かったのではないだろうか。
ソマナカやサガラ、トキノといったシリーズに出てくる重要人物もいるのだし。