森博嗣「ナ・バ・テア」
周りには空気しかない。何もない。空の底で生き、戦う「僕」は、空でしか笑えない-。職業として戦闘を選んだ人間たちのドラマ。2001年刊「スカイ・クロラ」に続く第2弾。
(「MARC」データベースより)
75点
と誤解を恐れずに言うのであれば、これは彼女の戦闘機乗りとして最初の話。
彼女が唯一空以外で興味を持つ"ティーチャ"の存在。
そして戦闘機に乗る事での彼女の自由さが描かれた作品。
彼女にとってスカイクロラに至るまでの大きな分岐点がここにはある。
全体を包む雰囲気は他の作品と同じ、読後感も爽快である。
世界観については少しずつであるが明らかになり、今後の作品で重要な役割を持つ人物も現れる。
特に面白いのが感情の薄いキルドレの彼女がヒガサワに感じる思い。
そしてティーチャへの儚い恋心。
スカイクロラでの結末を思うと、ここから彼女がたどる道筋の過酷さも感じさせる作品。
星はシリーズ全ての総合的な評価で5にしているので、スカイクロラの最終章としての見事さを差し引いて4としているが、他のシリーズ作と比べて見劣りする作品ではない。