中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

曽根圭介「図地反転」

総力を挙げた地取り捜査で集められた膨大な情報。そのなかから、浮かび上がった一人の男。目撃証言、前歴、異様な言動。すべての要素が、あいつをクロだと示している。捜査員たちは「最後の決め手」を欲していた―。図地反転図形―図と地(背景)の間を知覚はさまよう。「ふたつの図」を同時に見ることはできない。ひとたび反転してしまったら、もう「元の図」を見ることはできない。

(「BOOK」データベースより)

25点

 

刑事を主人公とした冤罪物の小説。

タイトルの図地反転が意図するストーリー作りは分かるが、どうも押し付けがましさも感じてしまう。

また全てのテーマや項目が中途半端で、読後感のよくないラストも印象としては悪い。

 

図地反転というテーマを描く上で、悪意を入れ込まなかったのは理解できる。

悪意が無い上で成り立つ、思い込みによる冤罪や悲劇などについて描きたかったのだろう。

しかし、誰しもが結論を知らないままで、自分の図地反転による罪を意識しないまま結論までいくのはどうなのか。

 

また主人公研二にも魅力を感じなかった。

一冊という長い時間経過を経て、成長があまりにも乏しく、正直小説の半分あたりで、結論の精神状態まで行ってもよかったのではないか。

 

色々な意味で中途半端な作品に感じた。