中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

佐々木譲「笑う警官」

札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。北海道道警を舞台に描く警察小説の金字塔、「うたう警官」の文庫化。

(「BOOK」データベースより)

51点

 

得意の警察小説だが、底の浅さを感じてしまった。

 

汚職事件により、大規模な人事異動があった北海道警察
そんな最中、汚職事件に関与が噂された警官に、婦人警官殺害の容疑がかかる。
早すぎる発砲許可と不自然な管轄の移動に、昔組んでいた警官の無罪を確信する佐伯は独自に調査を開始する。

 

佐伯という主人公を中心に数人の警官が集まり、県警とは別に捜査を進めていく。
集まった警察官には、それぞれの得意分野があり、スペシャリストものとしても読める。


しかし、婦人警官殺しの本線がかなり不自然な事や、犯人の取ってつけた感など頂けない部分も多い。
発砲許可にしてもいささかか強引な展開に感じる上、キャリアの描き方がステレオタイプすぎる事も気になった。

 

警察小説にしてはボリュームも雰囲気も軽いので、読みやすいというメリットもあるし、後半のスピーディな展開は中々面白い。
しかし、重厚な人間ドラマやミステリ要素を期待すると、肩透かしをくらうであろう。