矢作俊彦「犬なら普通のこと」
暑熱の沖縄。ドブを這い回る犬のような人生。もう沢山だ―ヤクザのヨシミは、組で現金約2億円の大取引があると知り、強奪計画を練る。金を奪ってこの島を出るのだ。だが襲撃の夜、ヨシミの放った弾は思いがけない人物の胸を貫く。それは、そこにいるはずのない組長だった。犯人探しに組は騒然とし、警察や米軍までが入り乱れる。次々と起こる不測の事態を、ヨシミは乗り切れるのか。血と暴力の犯罪寓話。
(「BOOK」データベースより)
51点
ちょっと古さも感じる沖縄を舞台にしたノワール。
色々な登場人物とその思いが入り乱れ、行き着く先はどこにあるのか。
そして誰が金を手にするのか。
ストーリーは綺麗に配置され、複数視点でのノワールをくみ上げている。
沖縄の暑さとその描写も、ワイルドな作風にはあっている。
アクション要素も多く、面白みはある作品だ。
途中冗長な部分もあるが、それほど退屈には感じなかった。
しかし、目新しさはまったくといっていいほど無い。
どこかで読んだことのある話の組み合わせに感じてしまう部分もある。
それが古臭さなのかもしれない。
ヨシミのキャラクターに一貫性を感じなかった部分も多少マイナス。
駄目人間と扱われるヨシミが計画の最終段階までこぎつけた事や、銃撃戦にやたらと強い事も今ひとつ納得が行かない。