中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

東野圭吾「流星の絆」

惨殺された両親の仇討ちを流星に誓いあった三兄妹。「兄貴、妹は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」14年後―彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった。
(「BOOK」データベースより)

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72点

 

幼いころに両親を惨殺された三兄妹。

その復讐を心に誓いながら、詐欺行為で生活をしていく。

そしてとある切欠から、両親殺害の容疑者となる人物を見つけてしまう。

 

テーマにしてはライトな文章と、登場人物の魅力で、一気読みが出来てしまう本作。

すでに一般読者も多く含み、モラルを気にする人が多い中では、軽快なノワールとして非難を浴びてしまうのも分かる。

伏線の強引さや犯人のとってつけたような登場。

完成された小説としての魅力がある東野圭吾の代表作に比べると、荒さが残るのも事実。

だが、主人公三人と容疑者の息子を含む登場人物の魅力や、「ハヤシライス」をめぐるいきさつなど、面白いポイントも多数ある。

描写の上手さも相変わらず。

 

恋心をめぐる妹の葛藤に関しては、詐欺行為をしていたのにこの局面で何故?という違和感もある。

そこが話のポイントの一つともなっているので、この違和感はマイナスか。

また綺麗にまとめられたラストも、好みが分かれるところ。

個人的には小説内で犯罪をした人物が、必ずしも逮捕され、罪を償う必要性は無いと思うので(まぁ小説なので)、その点に関しては違和感は感じなかった。

 

犯行動機にもう少し重みと伏線を持たせる事が出来れば、さらに評価は上がったであろう。