舞城王太郎「阿修羅ガール」
恋するアイコがガーリッシュに悩んでる間も世界は大混乱!殺人鬼はグルグルだし子供は街で大爆発!魔界天界巻き込んで、怒涛の傑作、今ここに降臨。
(「BOOK」データベースより)
32点
舞城作品ならではのドライブ感もあり、あちこち飛ぶ内容も結局まとめる筆力は素晴らしい。
しかし、面白いかといわれればいまいちな作品である。
主人公のアイコは自分に大して真正直な女の子。
頭は良くないが、腕っ節はいい。
下半身はゆるいが、正直。
そんな彼女の魅力は十二分に出ていると思う。
第二部の急展開や、グロテスクさもしまりを与えているし、グルグル魔人のキャラクターも突き抜けていて面白い。
破綻しているところも多いが、それを感じさせないパワーを持った小説である。
キャラクターの魅力がとにかくよく出ている。
しかし、話自体が今ひとつな事は否めない。
ネットから始まる暴動のリアリティの無さ、そして全体に漂う冗長さ。
そういった意味では、本来のドライブ感が全体には出きっていないのかもしれない。
石原慎太郎やグッチ裕三まででてくるハチャメチャ展開は好きなだけに残念。
テーマの深遠さも、その前の面白さを感じさせなくては意味がない気もする。