道尾秀介「向日葵の咲かない夏」
明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。慌てて学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けてみると、なぜか死体は消えていた。「嘘じゃない。確かに見たんだ!」混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりと称するモノが現れ、訴えた。―僕は、殺されたんだ。半信半疑のまま、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、真相を探る調査を開始した。
(「BOOK」データベースより)
52点
よくも悪くも道尾作品らしい作品。
ラストでのいつも通りのどんでん返しを超展開ととるのか。
無意味な伏線を巧妙なミスリードと取るのか。
読者の好みによって大きく分かれるところだろう。
人間関係は非常に黒く描かれている。
主人公含め、担任や両親。
周囲の人物は悪意と嘘にまみれ、えぐられる様な描写が多い。
内容もミステリというよりはホラー的であり、叙述トリックの使い方もうまい。
ただ妹に対する違和感など、少しヒントが多かったかなという印象もある。
また主人公の設定などはいつもの道尾作品と違い、新しい面を見せてくれただけに、展開や進み方などの基本構成がいつも通りだった事は残念。
このスタイルでの評価は一定以上得れたと思うので、そろそろ脱却してくれる事を切に願う。