柴田よしき「RIKO-女神の永遠-」
男性優位主義の色濃く残る巨大な警察組織。その中で、女であることを主張し放埓に生きる女性刑事・村上緑子。彼女のチームは新宿のビデオ店から一本の裏ビデオを押収した。そこに映されていたのは残虐な輪姦シーン。それも、男が男の肉体をむさぼり、犯す。やがて、殺されていくビデオの被害者たち。緑子は事件を追い、戦いつづける、たった一つの真実、女の永遠を求めて―。性愛小説や恋愛小説としても絶賛を浴びた衝撃の新警察小説。第十五回横溝正史賞受賞作。
52点
男社会の警察の中で奮闘する村上緑子の物語。
だが従来の女刑事と違い、緑子は非常に「性的」である。
それは女性的と言い換えると語弊があるかもしれない。
ただ少なくとも男勝りな女刑事ではない。
ミステリーの本筋は本筋でなかなか骨太。
ホワイダニットが今回のメインであり、そこで色々とつながりを見せる部分はなかなか凝っている。
ただ犯人は途中で検討がついしてしまうし、そこまで大きなトリックも隠れていない。
緑子は暴行され、時には暴行し、同性愛にも手を出し…とにかく乱れまくる。
しかしそれはポルノとして描かれることなく、あくまでも暴力的な描写として描かれている。
発想は面白いと思う。
ただジェンダーや同性愛などの領域を意識しているのが見え、それが作為的で萎えさせる。(それが評価されている部分でもあるが)
「RIKO」はこの後もシリーズになっており、緑子の女としての成長・年輪を刻んでいくようだ。
特異な主人公の今後が気になっているという意味では、私も作者の術中にはまっているのかも知れない。