中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

垣根涼介「ワイルド・ソウル」

『午前三時のルースター』で2000年のサントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞してデビューを飾った垣根涼介は、旅行会社の添乗員だった経験を生かしたリアルな舞台設定と、繊細な人物描写を得意とする新しい才能である。そんなクライム・エンターテイメント小説の気鋭が、事実を基に練り上げ1年をかけて書き下ろした意欲作が本書である。国の無責任な移民政策による被害者たちの怨恨という難しいテーマを、きめ細かく鮮やかに料理し、読者を突き抜ける爽快感へと導く。
(「Amazon.co.jp」より)
$Trial and Error

51点


「午前三時のルースター」が面白かったので、期待した一冊。

前半のブラジル移民の悲惨さを描く下りと、後半の復讐。
凄まじいリアリティとパワーで圧倒する内容の作品である。

特に前半のブラジル移民の下りは、その悲惨さを知らなかった私にはひどく衝撃的で絶望的だった。
そこから一転ハードボイルド化する後半は小気味よく進む。

ただ…長い。

かなりの小説好きには苦じゃない長さかも知れないが、自分にはとても長く感じた。
特に前半のブラジルの部分はこれでもかというほど悲惨さが描かれ、正直くどく感じた部分もある。
とはいえ削れる場所があるかと言われれば…無い。
前半のくどさが無ければ復讐の必然性が薄れてしまうし、この本の良さも消えてしまう。

ハードボイルド且つ社会派な作品が好きな方にはオススメしたい一冊ではある。