中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

東野圭吾「容疑者Xの献身」

天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか。これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった。運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。
(「BOOK」データベースより)
$Trial and Error

87点


大好きな東野圭吾の話題作を読んでみた。
当然のごとく小説としての完成度は高い。

トリックもかなり秀逸な出来。
数学者・石神の深すぎる愛情が産んだとんでもないトリックは一見の価値がある。
やはり東野圭吾作品は「ミステリー」と「愛」が描かれて、最も力を放つものだと思い知らされた。

各所でも言われている通り結末は賛否両論出ることが目に見えた内容。
ただそれは東野圭吾という作家の書いた結末への賛否というより、あくまで物語の中で主人公の湯川がとった行動に納得がいかないといったもので、決してこの作品の出来を貶めるようなラストではない。

後は湯川が「科学的なトリックを暴く為捜査協力する」という、いつもの内容では無い部分に少し違和感を感じた。
どこかしらに科学的なトリック(もしくは数学者ならではのトリック)が見れれば「ガリレオ」シリーズとしてこの作品がある意味も濃かったのでは無いかなと。