道尾秀介「ソロモンの犬」
幼い友はなぜ、死ななくてはならなかったのか?一文一文から鮮烈な驚きと感動が立ちのぼる傑作ミステリー。
(「BOOK」データベースより)
48点
二作続けて"犬"つながり。
こちらも正直なところ今ひとつだった。
物語は大学生の主人公・静とその友人・克也、克也の恋人・ひろ子、静の片思いの相手・智佳の四人を中心に進んでいく。
彼らの幼い友人が巻き込まれた事故。
それは果たして偶然なのか?誰かの故意なのか?
行き場を無くした犬や、動物心理に長けた間宮などを巻き込み事件は加速していく。
まず今回の作品に関してはプロットの作りが乱雑に感じた。
普段は計算されつくされた筋立てが魅力の作者なだけに気になる。
突然のバトンタッチがあったり、意味深な幕間の意味があまりなかったり。
どうも粗雑な印象がぬぐえない。
またそれぞれの事件に関しての考察も浅く、真相もかなり浅い。
露骨な伏線を、事件の本筋と関係のないミスリードにつなげる手法は今回も多様されているが、今までに比べ意味づけも少ない。
あっさりな味付けで、淡い恋のテイストもあり、好きな人は好きなタイプの小説だと思うが、自分には今ひとつ納得がいかなかった。