中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

飴村行「粘膜人間」

「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。

(「BOOK」データベースより)

f:id:yukinak:20180519092525j:plain

82点

人に薦めづらい小説ランキングがあれば確実に上位に来るであろう作品。クチュクチュバーンを薦めて引かれた過去がある自分としては、絶対に薦めませんw

でも…面白いんですよね。なんですかねこれ。

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ奇々怪々グログロのオンパレード。

 

第一章は巨漢の弟の暴力に耐えかねた兄弟が、村はずれに住む河童に弟の殺害を頼むストーリー。この河童が実に秀逸。肌は粘膜状で全体的に青いという…それは自分の知っている河童ではないですw

この河童が3兄弟なんですが、長兄が要求してきたのは「村の女と気がすむまでグッチャネをしたい」という…グッチャネって何?グッチャネは「女の股ぐら泉に男のマラボウを入れてソクソクすることだっ」との事…。なんですかね、この絶妙なワードセンス。

そして、兄弟は村に住む「非国民」とされる女の子を河童にあてがうことにします。ラストは巨漢の弟・雷太と3兄弟のジッ太とズッ太の壮絶バトル!長兄のモモ太は雷太を殺す前にもう女の子の所に行ってしまうという自由奔放さwジッ太とズッ太は死に、雷太は安否不明で終わります。

 

第二章は「非国民」の女の子が髑髏という死を体験できるドラッグで拷問される下りです。ここは…まぁ凄まじい。何度も何度も悲惨な死を迎えるだけの下りである種のトリップ感すら感じます。それ以外何もないんですがw

 

第三章は河童との戦いで脳の一部を失いながら生きていた雷太が、記憶を無くした状態でモモ太と出会い奇妙な友情を紡いでいく下り。雷太はまぁ当然そのままでは終わらず、ラストは弟の仇と知ったモモ太と雷太の壮絶バトルが始まる!というシーンで終わります。

 

このラスト熱くないですか!?

荒唐無稽な非人道的グロ展開の第一章から、ストーリーなしの拷問パートの第ニ章。そこから急に妖怪と人間の交流や優しいムード漂う第三章への落差。そして相容れない悲哀を含んだ「俺たちの戦いはこれからだ!」なラスト。

いや、めちゃくちゃなようで結構絶妙な構成だと思います。

 

全体的なワードセンスと世界観もグロいけどちょっとコミカルなんですよね。河童の間の抜けた感じと恐ろしさのバランスとか絶妙だと思います。

 

粘膜シリーズの入門なら間違いなく本作だと思います。これがダメなら粘膜シリーズは読まないに限りますねw