中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

山下貴光「屋上ミサイル」

大統領がテロ組織に拉致監禁されるという大事件がアメリカで発生していたものの―日本の高校生たちにとって、それは遠い国の出来事だった。それよりも、もっと重要なことがある。例えば、校舎の屋上でスケッチをすることだとか。美術の課題のため、屋上にのぼった高校二年生の辻尾アカネ。そこで、リーゼント頭の不良・国重嘉人や、願掛けのため言葉を封印した沢木淳之介、自殺願望を持つ平原啓太と知り合う。屋上への愛情が共通しているということから、国重の強引な提案で“屋上部”を結成することになった四人。屋上の平和を守るため、通行人を襲う罰神様騒動、陸上部のマドンナ・ストーカー事件、殺し屋との遭遇などに巻き込まれることになる。それらはすべて、ひとつの事件に繋がっていた!『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

32点

 

屋上部として青春を謳歌する学生達の青春ミステリ。

 

物語は屋上に辻尾アカネが絵の課題を描くためにやってくる事から始まる。

そこで出会った国重嘉人や沢木、平原と共に屋上部を結成したアカネは、様々な謎に立ち向かっていく。

 

キャラクターはライトに面白く描けている。

各所で言われているが伊坂色全開の作品なので、ライトさも伊坂的なもの。

しかし、軽い行動での人格表現やここぞという所の台詞回しには圧倒的に差があり、伊坂ファンはくすぐったくて読みづらいだろう。

 

ストーリーも伊坂作品の切り張りのイメージ。

しかしあまりにも強引さとご都合主義が露骨に感じた。

アメリカのテロは重要なファクターになるかと思えば、そうでも無かったり。

突然、殺し屋が登場したり、死を軽い理由であきらめたり。

メインストーリーは最後に全て集約するが、ご都合主義なら大きく見せなくてはいけないラストの仕掛けも無かった。

 

読める作品だし、面白いポイントもあるが、あまりにもオリジナリティが無い。

次回作では脱皮してくれるよう期待。