上甲宣之「そのケータイはXX(エクスクロス)で」
旅行で訪れた山奥の温泉地、そこは怪しい村だった―。女子大生しよりと愛子を次々に襲う恐怖の事件。今すぐ脱出しなければ片目、片腕、片脚を奪われ、“生き神”として座敷牢に一生監禁されてしまうという!?頼りの武器はケータイのみ!二人は生きて逃げ出すことが出来るのか。第1回『このミス』大賞で最大の話題を呼んだ、息つく暇さえない携帯電話ホラーサスペンスの最高傑作。
18点
最近、小説を全然読めていなかったので、ちょっと前に読んだ本作の感想。
「リアル鬼ごっこ」の再来!といういまいち笑えないレビューが多いこの作品だが、内容を読む限りごもっとも。
とにかく地の文が異常なほど下手。
久しぶりに読んで苦痛な小説は久しぶりだった。
「っ」がやたらに多用されているのも、漫画のバキを読んでいる気分にさせられた。
ストーリー自体もお粗末。
キャラクターの行動も不可解で、何故そんな行動を?といった所が目立つ。
説明的な文章・ご都合主義的な展開も目立ち、オチも不完全燃焼。
携帯電話を通してしか、主人公二人がコミュニケーション出来ない状況。
そこに圧し掛かる村の因習、という話の根幹は面白いと思うが、その上に乗っかったものが不出来すぎる。
そんな評判を聞いていたのに読んだ理由は、映画「エクスクロス」に鈴木亜美が出ているから。
こちらは、原作の破綻を逆手にとって、「突っ込み所満載のギャグホラー」として仕上ている。
深作健太が監督、原作がこれの時点でどうやってもひどい作品になることは見え見えなので、逆方向へ思い切り振ったプロモーションは正解だと思う。
鈴木亜美のポジションもハイスクール・ホラーのヒロインを髣髴とさせ、B級感に飲まれない存在感を出している。
見て何か残る映画ではないが、B級好きには結構つぼな作品かも。