中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

折原一「黒い森」

引き裂かれた男と女は樹海の山荘で運命の再会を果たせるのか。本そのものが仕掛けに満ちた、折原マジックの決定版。

(出版社/著者からの内容紹介)
Trial and Error

12点

 

本書は表表紙から始まる「生存者編」、裏表紙から始まる「殺人者編」、中央袋とじに収められた「解決編」の三篇からなる変わった小説だ。

 

ミステリーツアーに参加し、離れ離れの恋人と目的地で待ち合わせる男女。

女性主人公の樹里は生存者編、男性主人公の留美夫は殺人者編の主人公となり、それぞれ樹海の奥の家を目指す。

 

順番としては生存者編、殺人者編、解決編と読めとあったので、その通り読んでみた。

生存者編は樹海の恐怖を前面に押し出したものだが、心理描写が稚拙すぎて全く怖くない。

何がしたいのか。むしろ何が謎なのかさえ分からないまま進んでいく。

 

殺人者編も本の表と裏で暗喩する通り、同様の進み方をしていく。

ただしこちらには明確な犯人がいて、推理要素も入っている。

しかしあまりにも犯人が分かりやすすぎる。

犯人の目的もくだらなすぎて納得など出来ない。

そして主人公以外のキャラクターも薄く、何のための登場人物か良く分からない。

 

そして最後に解決編となっている。

ここで解決される内容だが、恐ろしくくだらない。

普通の読者なら生存者編を読み始めてすぐ「謎」とされている部分が分かってしまう。

それを延々引張り、過剰なまでのヒントを出し、解決編で「さあどうだ!」とされても「はぁ…」としか言えない。

プロローグでの密室殺人どうのの話も何も謎でなかったことが分かる位で、袋とじにしてまで「解決編」と銘打った意味が分からない。

そもそも装丁が内容に与えているプラス要素がゼロだ。

装丁が気になって読み始めたので、騙されたという感覚にすら近い。

 

ロミオとジュリエット」にかけて留美夫と樹里にしているあたりを含め、恐ろしくセンスを感じない。

こういう引っ掛けたようなネーミングも、センスの良い作者なら上手いエッセンスとして取り入れられるのだが、この話では何の意味も持っておらず浮いてしまっている。

 

久しぶりに本当に面白くなかった。

文章・キャラクター・新しさ・ミステリー・ホラー全ての要素が稚拙で低レベルに感じた。

それなのに装丁など凝っているから余計たちが悪い。

 

あくまでも個人的感想であり、折原一が好きな人もいるであろうと思うが、自分には全く合わなかった。