中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

伊園旬「ブレイクスルー・トライアル」

懸賞金1億円の一大イベント<ブレイクスルー・トライアル>に参加することを決めた、門脇と丹羽。それは、技術の粋をつくした難攻不落の研究所に侵入し、制限時間24時間以内に、所定のものを持ち帰るというものだった。彼らにはそれぞれの過去があり、このイベントで優勝することによって人生を変えようと考えていた。
ひょんなことからイベントに紛れ込んだダイヤモンド強盗犯グループ、保険会社の依頼で、その強盗を追う私立探偵、研究所の守りを固める叩き上げ頑固一徹の管理人、ライバル会社から派遣されたスパイチームなどが参加を表明し、それぞれ思惑を胸にイベントに集結する。侵入者を阻むため、各所に設けられた指紋、静脈、虹彩などの生体認証。さらには、凶暴な番犬や新型警備ロボットの一群など、数々の障害に立ち向かい、突破するのはどのチームなのか。

(出版社 / 著者からの内容紹介)

Trial and Error-breakthroughtrial

32点

 

伊坂を越えたご都合主義爆発のお話。

不自然さが苦手な方は好きな話ではないだろう。

それを差し引いても「このミス大賞」は行き過ぎに感じる…。

 

セキュリティ会社の侵入テストに参加する主人公たち。

ダイアモンドを探す強盗犯。

強盗犯を追う私立探偵。

頑固な管理人。

この4組がお互いの目的も分からず、最新セキュリティの中でひたすらアタフタする。

 

まずこの4組のキャラ設定がかなり薄い。

この内容で書ききるなら、キャラクターの所にもう少し力を入れてほしい。

危険な賭けにのる理由がそれぞれ薄く、必然性を感じない。

 

そしてセキュリティの描写がしらじらしい。

妙な近未来的発想が逆に萎えさせるし、そもそも「ブレイクスルー・トライアル」の開催理由もいまいち不明。

 

それぞれが限定条件の中で、グループを分かれて単独行動したり、手を組んだりする流れは非常に面白いだけに残念さが残る。

 

伊坂幸太郎に「陽気なギャング」メンバーでリメイクしてもらえば名作になりそう。