海堂尊「チーム・バチスタの栄光」
東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
51点
成功率100%のバチスタチームがかかえる闇。
それぞれのメンバーの闇が解き明かされていく過程は非常に面白く、スラスラ読める。
また主役二人のキャラクターも魅力的。
ただミステリーとしては弱い。
読んでいて(こういうオチだったら卑怯だな…)と思っていたオチに行ってしまったのが残念で仕方ない。
作者は医者としてのバックグラウンドをフルに活かし、医療現場のリアルさを書き出している。
そして新人離れした筆力で、人間関係の闇も深く鋭角に抉り出している。
だがミステリーとしての面白さには圧倒的に欠けている。
そういう意味ではたまに議論される「アンフェア」な作品にも感じた。
映画版、ドラマ版はオチを変えていると聞いたので、そちらの方が面白いのかも知れない。
その位、拍子抜けしたオチだった。