伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
51点
これは完全にオチありきの話。
登場人物は全体的に薄い人物描写なので、あまり感情移入できないままオチに向かって疾走していく。
この薄い人物描写がこの物語のエグさを中和しているととるか、合っていないととるかは人次第だろう。
私は後者の取り方をしてしまった。
「終末のフール」では中和するよさが出ていたので残念。
オチは秀逸なのは認める。
そこにいたる経過が今ひとつ楽しめない事がもったいない。
ただ、まったく面白くないわけではない。
軽く読めるといった意味では、非常に良く出来た作品だと思う。
ちなみに映画は見ていないが、これをどう映像化しているのかは気になっている。