中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

平山夢明「独白するユニバーサル横メルカトル」

凝視せよ。ここにあるのは宝石だ。生理的嫌悪と、終わることのない暴力の果てに、名状しがたい感動が待っている、異形の物語たち。日本推理作家協会賞を受賞した表題作を含め8編を収録した短編集。
(「MARC」データベースより)
$Trial and Error

55点


自分はホラー映画が大の苦手である。
そしてお化け屋敷も大の苦手である。
だがホラー小説は大好き、とりわけ平山夢明は最も好きな作家である。

「小説好き」という趣味は女性に言いやすい。
だが「平山夢明」が好きと言えばほとんどの人が引くであろう。
それ位「エグい」話が多い。

だが彼の魅力はそのエグさの先にある。
小説としての凄まじい筆力、プロットの絶妙さ、そして斬新さにある。

この作品の中で「このミス大賞」に選ばれた表題作は交通地図が執事口調の一人称で喋る物語で、この短編集の中では比較的おとなしい部類に入る。

個人的に好きな話は「Ωの聖餐」。
知的な大男が死体処理をする話だが、なかなかに深みがあって面白い。
(かなり柔らかい表現をしてるが内容はえげつない)

全体を通してみると「他人事」「ミサイルマン」に比べると劣るものの、エッジは浅く、一般受けはこちらのほうがしそうな印象。
ただ夢明ファンと一般読者の間に落とし込んでしまい、どっちつかずな印象も若干残った。