中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。
(「BOOK」データベースより)
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91点


叙述トリックの見本のような本作。
正直なところまったく見抜け無かったw

「何でもやってやろう屋」成瀬将虎が駅で助けた女性との恋。
そして依頼された保険金詐欺の調査。
主婦・古屋節子が翻弄される悪徳商法業者「蓬莱倶楽部」。

繋がらない3つのストーリーは後半までもつれることなく、それぞれがそれぞれの方向性を持って進んでいく。
これがどう繋がるかというところにまさかの叙述トリック
トリックの内容が多少強引であったり、タネの方向性で好みは出ると思うが、「このミステリーがすごい 2004年度版」で堂々1位は伊達ではない。
しかも気づいてみれば、そこかしこにヒントが散りばめてある事も憎らしい。

ともするとトリックだけにフォーカスが当てられることが多い本作だが、その中で書かれる人間模様。アクション、ミステリーの要素も高レベル。

読んで損は無い秀作である。