中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
(「BOOK」データベースより)
Trial and Error

29点


期待しすぎて読むといけないかもしれない。
正直期待ほどでは無かった。

物語は5組の群像劇が独自の方向性を持って進み、「伊坂作品的ご都合主義」で集約していく。

ただご都合主義に今回は痛快さが無い。
もちろん作者都合で繋ぎ合わせるので、繋がりの見事さは感じない。
となると、群像劇としてどうなのかと感じてしまう。

また今回は伊坂作品のキャラクターの軽さや造型が、シリアスな事をしているシーンに全体的にマッチしていないように感じる。
なのでそれぞれのシーンに緊迫感が無く、「この人達は何故こんな事をしているの?」と疑問が出てくる。

目的が不明瞭な事(犯人当てなど最終目的が無い)も今回悪く出てしまい、不完全燃焼なラストに感じてしまった。