中式先攻法ブログ

小説や映画、ドラマなどの感想をダラダラ書いてます。備忘録も兼ねて。

小林泰三「玩具修理者」

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く…。現実なのか妄想なのか、生きているのか死んでいるのか―その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。
(「BOOK」データベースより)
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91点


傑作、まさに傑作。
この作品は「玩具修理者」「酔歩する男」の二話構成になっている短編集だが、他の短編集とは違い二作とも非常に面白い。

玩具修理者では子供の残酷さと暑い日の描写が恐ろしいほどに迫ってくる。
また登場する修理者のキャラクターも絶妙。

そして二話目の「酔歩する男」。
個人的にはこちらのほうがさらに面白いと思った。

あちらへこちらへ行き来する展開。
そして自分何なのかが徐々に見えなくなっていく過程。
読み手に眩暈すら覚えさせるような肉薄した迫りくる恐怖がある。

まさに傑作。
これがデビュー作なのがさらに凄い。